4年ほど前のある日、義理のお母さんが障害者のグループホームを始めるために会社をつくろうと思う、と言い出しました。
保育士として働いたり、中国に留学したいと言い出したり、介護の仕事をしたり、と旦那さんに似て自由奔放なイメージのお義母さんでしたが、まさかこの年で会社をつくるなんて・・!!
さすがのお父さんも、子どもたち(つまり私の旦那さんとその姉妹)もびっくり。
色々心配していましたが、話はほぼ決まっていたようで、あっという間に会社ができ、グループホームの運営がスタートしました。
そもそも”精神障害者のグループホーム”って?
私たちも数年前そうだったように、グループホームというと普通は高齢者用の大きな施設を思い浮かべる方が多いと思いますが、お母さんが始めたグループホームは精神障害をお持ちの方が4名〜10名くらいで一緒に暮らすというもの。
施設というよりは、”寮母さんのいるシェアハウス”みたいな感じで、世話人から日々の生活や健康管理などのサポートを受けながら、自立や社会復帰を目指して暮らす家、なんです。
入居者の状況はまちまちですが、自立を目標に掲げているホームだと、障害の程度は軽い方が多く、映画やドラマにでてくるような精神病院から移ってきた方というよりは、自宅で親御さんと一緒に暮らしていた(引きこもってた)けど、将来を考えて自立したい!とか、元々会社員で一人暮らしをしていたけれどうつ病になって人との交流がうまくできなくなってしまった、、のような状況で、復帰するのに手助けが必要な人達がほとんど。
また、自閉症やADHDなどの発達障害を持っている方の場合、小さいころから親が周囲の目を気にしたり、我が子を大切に思うからこそ外部とのコミュニケーションを遮断してしまったり、障害者なんだから無理でしょ、といろいろなことに挑戦する機会を奪ってしまっていたり。
早いタイミングでその状況から脱することができればよいのですが、面倒を見ていた親が高齢になってきたころ、その先の我が子の将来を心配し自立を目指して動き出すことが多いのも現実のようです。
そんな方々が集まる精神障害者のグループホーム。
自立を目指しているので、普通の人たちと同じように、日中は仕事にでかけ、夜はホームに帰ってきてご飯をつくり、仲間とおしゃべり、なんていう至って普通の毎日を過ごします。
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ということで、いつも明るいお母さんですが、私たちには見せない苦労も失敗もあるのだろうと思いますが、運悪く仕事を失ってしまった親戚や80歳半ばのおばあちゃん(義理のお母さんのお母さん)までをも巻き込んで、みんなで楽しく生き生きと働いています。
元々おばあちゃんはグループホームで働く前、高齢になってきたこともあって一人だと心配だから、と7人の子供たちの家を転々としていました。
いつもニコニコ笑顔のおばあちゃん。
島出身ということもありご家族みんなとっても仲が良いのですが、そうはいっても自分の家とは違うし、特にやることもなく、なんとなく元気がないように見えたときもありました。
お義母さんは、そんなおばあちゃんにグループホームで仕事をしないかと声をかけたのです。
いくら元気とはいえ80歳半ば。
そんなおばあちゃんに仕事をさせるなんて、私だったらきっと考えもつかなかったと思います。
そうして、おばあちゃんは泊まり込みでグループホームの世話人をし、障害者さんと一緒に早朝から畑仕事をし、みんなにサーターアンダギーを作り、今や立派な職員さんとして生き生きと働いています。
今日は畑で何をした、とか美味しい野菜ができたよ、とか、すごく楽しそうに色々なお話をしてくれるおばあちゃん。
もちろんおばあちゃんなので、できないことだってあります。
グループホームの入居者さん(つまり障害を持っている方)が力のないおばあちゃんを気遣って、自発的にお布団敷きを手伝ってくれることもあれば、”あのおばあちゃんがあんなにテキパキと働いているんだから、私も頑張って働かなきゃ”とすごい勢いで畑の雑草を抜き、みんなのお手本になってくれることもある。
それぞれができること、できないこと、得意なこと、苦手なこと、を補填しあって生きていく。
この光景を目にしたのは最近になってからでしたが、さすが親子、これが旦那さんの思い描く村のカタチなんだな、と思いました。
障害について興味を持ったのは、お義母さんがグループホームを始めたことが大きなきっかけではあるのですが、よくよく考えると自分の身近にも思い当たる人たちは結構いて。
以前勤めていた会社にすごくがんばってるのにどうしてもうまくいかない子がいました。
物忘れが激しくて、話していたことを忘れてしまう、メモをすればそのメモを忘れる、、といった具合。
その都度、本当にかわいそうになる程に反省し、改善しようと試みるのですが、やっぱりうまくいかない・・。
とあるスタッフが病院にいくことを提案し、結果ADHD(注意欠如多動性障害)と診断されました。
薬を飲むとすごく調子がいいと言ってみたり、しばらくして薬が効くと言ったのはみんなの期待を裏切りたくないからで本当はきいてないだ、と言ってみたり・・。
ただ、その子の人柄の良さと営業の力は並外れていて、病院に通いだす前も後も、誰もがびっくりするような売上を年に何度も叩き出していたし、何より明るくて優しくて可愛くて、誰からも愛される子でした。
その障害が告げられたことが本人にとってよかったのかどうかは、正直私にはわかりません。
当初は病院に行かせるなんてひどい・・そう思っていたくらい。
でも、障害だと知らずに、障害だと認識せずに、自分が失敗したのは自分のせいだ、と自分を責め続けるのは違う気がするし、周りから責められるのも違うと思う。
時には薬が手助けになるときもあるのかも知れないし、自分の苦手なところを理解して周りの人達に手助けしてもらい、自分の得意なことで力を発揮する、そんなやり方もあってもいいんじゃないか、と今はそう思っています。
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